ECN口座。簡単にいえば「スプレッドがめちゃくちゃ狭くてスキャルピング向きな口座」ですが、取引構造の透明性、約定力などにおいても一般的なSTP口座を上回り、実はいま密かなブームとなりつつあります。
この記事ではECN口座の特徴や長所・短所、ECN口座を提供する選りすぐりの海外FXブローカー4社をご紹介します。
目次
NDD方式は「ECN」と「STP」の2つに分けられる
XM含め大半の海外FXブローカーは「NDD」(ノン・ディーリング・ディスク)方式、つまりディーラーが介在しない取引形態をとっており、業者側の取引サーバーがすべての注文を自動的に裁いています。
ただ、NDDならすべて同じというわけではなく、「ECN」という方式と「STP」という方式の2つに分けられます。
ECN(Electronic Communications Network)は、トレーダー同士の注文が直接マッチングする取引方式で、株の売買と同じ仕組み。もしあなたが10万通貨の買い注文を出すと、注文板に並んでいる10万通貨の売りポジションと自動的に結びついて約定します。
ECN口座の場合、FXブローカーの役目はトレーダーを取引ネットワークへ繋げるだけなので、レートにスプレッドを上乗せすることができず、そのかわりに「取引手数料」という外出し式の手数料を徴収しています。
対するSTP(Straight Through Processing)方式は、ブローカーのサーバー内で注文が処理され、顧客の注文同士がマッチングするということはありません。FX業者は提携している大手銀行や金融機関からトレーダーにとって最も有利なレートを引きだし、そこへスプレッドを上乗せするので、基本的に提携先が多いブローカーはより狭いスプレッドを提示できます。
すべて全自動とはいえ、もしディーラーの裁量が介在していたとしても我々がそれを見抜く術はありませんので、ECNよりも透明性に欠けていることは否めません。
ECN口座で取引するメリットとは
STP口座よりもトータルコストが安上がり
ECN最大のメリットはトータルコストを抑えられる点。
先述したとおり、直接取引のECN口座の場合、ブローカーはスプレッドを上乗せすることができないので、そのかわりに「取引手数料」という名目の外出し式手数料を徴収しているわけですが、スプレッドが限りなくゼロに近いため、手数料を合算したトータルコストはSTP口座よりも安上がりとなるのです。
この上なくクリーンな取引環境
注文同士が直接マッチングするECN方式は、現状あるどの取引方式よりもフェアでクリーンな仕組みといえるでしょう。
ディーラーによる裁量は一切入りませんし、約定拒否なる概念すらありません。ましてや、某国内業者みたいに「儲けすぎて口座凍結」なんて話も毛頭考えられませんので、ハイレバ・スキャルで爆発的に利を膨らましたい方にはうってつけの口座です。
「板」が見れる
顧客の注文が直接マッチングするということは、指値注文と成行注文が並ぶ注文板が存在するわけで、MT4やMT5やcTraderを通じて板情報 = Depth of Market(DoM)を閲覧することができます。
どの価格帯にどれほどの買い・売りが並んでいるのか、これはロウソク足チャートや出来高からは得られない貴重な情報であり、エントリーポイントを見極めるうえでの判断材料にもなり得ます。
確定申告の際、取引手数料を経費として計上できる
確定申告の際、STP口座のスプレッドは経費扱いにできませんが、ECN口座で発生した取引手数料に関しては経費として計上できます。一回一回の額は微々たるものかもしれませんが、スキャルピングやデイトレではチリが積もれば式でバカにできませんから、これもまたECNならではの魅力といえるでしょう。
ECN口座のデメリットとは
トータルコストを把握しづらい
ECN口座最大のデメリットといえば、トータルコストを把握しづらいことでしょう。スプレッドだけなら簡単に計算できますが、ECN口座の場合はスプレッドと取引手数料が別々に掛かってきますし、取引手数料の額や算出方法は業者によってまちまち。
ボーナスが無いor少ない
ボーナスに力を入れている海外ブローカーはいくつかありますが、ECN口座に限ってはその対象外となるケースが多いです。もともとコストが限りなく抑えられているので、当然といえば当然ですね。
例えばXMTradingの場合、STPのスタンダード口座とマイクロ口座に向けては「口座開設ボーナス」「入金ボーナス」と「ロイヤルティプログラム」の3段構えですが、ECNの「XM Zero口座」に関しては入金ボーナスとロイヤルティプログラムの対象外となっています。
ECN口座を提供しているおすすめの海外FX業者4社
ECN口座を提供している海外ブローカーはいくつかありますが、その中でもコストと信頼性に長けた注目の4社をピックアップしました。
Tradeview「ILC口座」
コストの安さを最優先したい方には、Tradeview ForexのILC口座をおすすめします。取引プラットフォームは「MT4」「cTrader」「Currenex」の3つから選択可。
取引手数料は1ロット = 10万通貨につき往復5ドルで、これは業界最安級!もちろんスプレッドは激狭で、GBPUSDやUSDCHFといったメジャー通貨なら平均0.5~0.8pipsほど、EURUSDやUSDJPYに至っては0pipsも珍しくありません。
また、ライセンス面でも完璧。Tradeviewが取得しているケイマン諸島金融庁のライセンスは、イギリスFCAライセンスをも上回る信頼性を獲得しており、ケイマン諸島金融庁はIOSCO(証券監督者国際機構)にも属しています。
最低入金額が1,000ドル~と比較的高く、レバレッジ最大200倍と比較的低め、なおかつロスカット水準が100%と高めなので中・上級者向けとなってしまいますが、快適なECN環境を求めるなら真っ先に候補に入れたいブローカーです。
Axiory「ナノスプレッド口座」
Axioryのナノスプレッド口座は1ロット(10万通貨)につき往復6ドルと、Tradeviewと同水準のローコストでありながら最低入金額は200ドル~低め。
Tradeviewでは扱っていないCFDも取引できるほか、最大レバレッジはTradeviewの倍の400倍、ロスカット水準は20%以下。効率最優先のハイレバスキャルで稼ぎたい方はTradeviewよりもAxioryがおすすめです。
Tradeview同様に、ECN口座に特化した次世代型プラットフォーム「cTrader」に対応している点も見逃せません。
Titan FX「ブレード口座」
cTraderに対応していないこと以外は限りなくAxioryに似通っている「Titan FX」。2015年に発足したばかりの新星ブローカーですが、今のところ取引や出金に関してネガティブな話は全く見聞きしませんし、管理人自身も愛用しているブローカーの一つです。
Titan FXではSTP方式の「スタンダード口座」とECN方式の「ブレード口座」を提供しており、ブレード口座の取引コストはAxioryのナノスプレッド口座と同等。
本業者の強みとしては、口座残高によるレバレッジ制限が設けられていないことでしょうか。XMの場合は口座残高が2万ドル = 約220万円を超えると最大レバレッジが200倍、Axioryの場合は10万ドル = 約1,100万円を超えると最大レバレッジが300倍へ規制されますが、Titan FXではどんなに残高が増えても500倍のハイレバレッジが保たれるので、大口トレーダーにも安心して薦められます。
XM Trading「XM Zero口座」
日本では最も名の知れた海外ブローカー「XM Trading」も、「XM Zero口座」というECN口座を提供しています。
取引手数料が片道5通貨 = 往復10通貨(10ドル)と高めなので、他社を引き合いに出してしまうとどうしても薄れてしまう印象。ただ、口座開設ボーナスとして3,000円が貰えること、最低入金額100ドル~という手軽さは評価できますね。
既にXMで取引されている方は、追加口座としてZero口座を作ることもできますので、XMユーザーなら一度試してみる価値はあると思いますよ。