仮想通貨のハイレバレッジFXが出来る「BitMEX」には、様々な注文方法が備わっていますが、通常のFXとは少しばかり仕組みが異なります。管理人自身、使い始めて間もないころは戸惑った覚えがあるので、備忘録兼ねてこの記事にまとめてみました。
目次
まずは、2つの基本的な注文方法を理解しよう
手数料が貰える「指値注文」
最も基本的な注文方法は「指値」です。その名前のごとく指した値で注文する方法で、買いたい場合は現在レートよりも下の価格を、売りたい場合は現レートよりも上の価格を指定します。つまり、注文板(オーダーブック)へ注文を並べるという行為になり、このことを「Maker」(メイカー)とも言います。
現在レート1XBT = 10211.5ドルのXBT/USDで例を示します。
指値買い(ロング)の事例
数量に「500」、指値に「9900」を指定して「買い/ロング」を発注したとしましょう。もしこの後9900までレートが落ちてきて、その時点で500ドル以上の成り行き売り注文が流れれば、マッチングして約定します。
指値売り(ショート)の事例
逆に「売り/ショート」で入る場合、10211.5よりも上のレートを指定します。指値を「10,500」にセットした場合、この後レートがそこまで上がったとき、500ドル以上の成り行き買い注文が流れれば約定します。
買いも売りも、指値注文で発注すると手数料は-0.025%で、これはつまり0.025%分の手数料が貰えるということを意味します。今回の事例のように、500ドル分の指値注文を出した場合、その場合0.125ドル分(500 x 0.00025)の手数料が貰えます。
ただし、以下のような発注を行った場合、指値であっても「Taker」とみなされ、0.075%の手数料が取られてしまいます。指値注文ならどの価格へ置いても良いわけではないので、注意して下さいね。
- 現レートもしくはそれ以上の価格に「買い」の指値注文を置いた場合
- 現レートもしくはそれ以下の価格に「売り」の指値注文を置いた場合
この後ご紹介する成行注文は、手数料を払う必要があるので、なるべく指値注文で取引したいところです。
手数料を払う代わりに即座に約定する「成行注文」
指値と相反する注文方法が「成行」。Makerが注文板へ置いた注文を消費するこの行為(人)を、「Taker」(テイカー)とも呼びます。
予め用意された指値注文と結びつけるだけなので、現在のレートで即座に発注することが出来ますが、意図したレートで約定するか否かは銘柄の流動性、すなわち指値注文の量によりけりです。ビットコインやイーサリアムは十分な流動性が確保できているので、そこそこ大きなロットでもすんなり約定しますが、DASHやモネロなどは流動性が著しく低いため、意図しないレートで約定してしまう恐れがあります。
注文板(オーダーブック)を確認し、現レート付近に十分な指値注文が置かれているかチェックしましょう。
注文方法は至ってシンプル。発注画面の「成行」タプを選び、数量を入力した後に「成行買い」もしくは「成行売り」をクリックします。
買いと売りの価格差は業者の取り分=スプレッドになりますが、bitFlyerなどの取引所とは比べ物にならないほど安く、ほぼゼロに等しいので気にしなくてOK。
特定の価格へ達したら発動する「ストップ」(Stop)と「利食い」(Take Profit)
ストップ注文と利食い注文はそれぞれ「指値」と「成行」がある
応用的な注文方法として、「ストップ注文」(Stop)と「利食い注文」(Take Profit)をご紹介しますが、いずれも「指値」と「成行」の2つに分かれており、その注文方法によって約定のタイミングや手数料が異なります。
- ストップ指値:ストップ注文 が発動した後、指値で指定した価格に達したら発注される
- ストップ成行:ストップ注文が発動したと同時に発注される
- 利食い指値:利食い注文が発動した後、指値で指定した価格に達したら発注される
- 利食い成行:利食い注文が発動したと同時に発注される
手数料は通常の指値や成行と同じで、指値は-0.025%、成行は0.075%となります。ただし、以下のような指値注文を行なうと、成行同様0.075%の手数料が取られてしまうので注意しましょう。
- ストップ指値の「買ストップ」において、ストップ価格よりも高い価格を指値で指定する
- ストップ指値の「売ストップ」において、ストップ価格よりも安い価格を指値で指定する
- 利食い指値の「利食い買い」において、トリガ価格よりも高い価格を指値で指定する
- 利食い指値の「利食い売りにおいて、トリガ価格よりも安い価格を指値で指定する
OOより高くなったら買い or OOより安くなったら売りを仕掛ける「ストップ」
「ストップ注文」(Stop)とは、「ある価格よりも高くなったら買い」もしくは「ある価格よりも安くなったら売り」という注文を実現するためのもの。「ここまで上がったら更に伸びるだろう」「ここまで下がったら更に落ちるだろう」といった具合で、順張りに適した注文方法といえます。
現レートが約10,400と仮定して、500ドル分のビットコインを発注する場合の事例を示します↓
ストップ指値買い(ロング)の事例
指値を「10,900」に、ストップ価格を「11,000」にセットし、買いストップ指値を実行したとしましょう。レートが上昇して11,000へ到達したタイミングで10,900の指値注文が発注され、その後にレートが10,900へ一旦下がったときに500ドル分の成行売りと結びつけば約定します。
ストップ指値売り(ショート)の事例
指値を「9,600」に、ストップ価格を「9,500」にセットし、売りストップ指値を実行したとしましょう。レートが下降して9,500へ到達したタイミングで9,600の指値注文が発注され、その後にレートが9,600へ一旦上がったときに500ドル分の成行買いと結びつけば約定します。
OOより安くなったら買い or OOより高くなったら売りを仕掛ける「利食い」
一方の「利食い注文」(Take Profit)は、トリガーとなる価格と指値を指定するという点はストップ注文と変わりありませんが、トリガーの指定方法に違いがあります。
「ある価格よりも安くなったら買い」もしくは「ある価格よりも買いなったら売り」という場合に用いる方法なので、「ここまで上がったら落ちるだろう」「ここまで下がったら伸びるだろう」といった具合で逆張りに適した注文方法といえます。
FXや株における「利食い」とは、含み益のあるポジションを決済する行為を指しますが、それとは無関係なので注意しましょう。
先ほど同様に、現レート約10,400と仮定して、500ドル分を発注する場合の事例を示します↓
利食い指値買い(ロング)の事例
指値を「9,600」に、ストップ価格を「9,700」にセットし、買い利食い指値を実行したとしましょう。レートが下降して9,700へ到達したタイミングで9,600の指値注文が発注され、その後にレートが9,600へ一旦下がったときに500ドル分の成行売りと結びつけば約定します。
利食い指値売り(ショート)の事例
指値を「11,200」に、ストップ価格を「11,100」にセットし、売り利食い指値を実行したとしましょう。レートがっ上昇して11,100へ到達したタイミングで11,200の指値注文が発注され、その後にレートが11,200へ一旦上がったときに500ドル分の成行買いと結びつけば約定します。
ストップ注文・利食い注文のフローチャート
「OOよりも高くor安くなったら買いor売りたいけど、注文方法がイマイチよく分からない」という方のために、ストップ注文と利食い注文のフローチャートを作りました↓
価格の変動と共に注文ラインも上下する「トレーリングストップ」
「トレーリングストップ」は、価格の変動と共に注文ラインも随時上下するというもので、具体的な価格を指定して発注する他の注文方法とは根本的に異なります。
トレーリングストップの挙動を説明するには、文章よりも図が適しているので、ざっくり描いてみました↓
トレイル幅を「-100」に設定し売り注文を仕掛けたとしましょう。その後に価格が高値を更新するとトレイルラインもそれに応じて引き上げられますが、一度引き上げられたラインが下がることはないため、直近の高値から100以上下落すると自動的に成行売り注文が発動します。
買いの場合はその逆で、安値更新のたびにトレイルラインが引き下げされ、設定した値幅以上に上昇してトレイルラインへ引っ掛かれば成行買いが発動します。
こちらが注文画面↓ トレイル値をプラスに設定すると「買ストップ」が、逆にマイナスに設定すると「売ストップ」が押せるようになります。
決済方法は成行か指値のいずれか
最後に、ポジションを決済する方法を解説します。
決済方法は、成行か指値のいずれか。「成行」ボタンを押せば即座に決済されますし、指定の価格で決済したい場合は指値をセットした後に「決済」ボタンを押せばOK。